痔などの肛門疾患全般
肛門疾患の診察の流れ

ジオン注射による内痔核に対する注射治療は日帰り手術で行っています。
内痔核の治療は段階的に行います
1段階 : いぼ痔の腫れや痛みを改善させる薬物治療(坐薬・内服薬)
2段階 : 内痔核に対する注射療法(日帰り手術が可能)
3段階 : 手術による痔核の切除
手術治療の費用:25,000円程度(術前検査料含む、3割負担の場合)
【治療経過】
注射前1-2ヶ月かけて治療計画(ジオン注射の適応を判断します)
注射後: 1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の時期に診察
注射後6ヶ月:治療効果最終チェック、ジオン注射直後から注射部位に炎症が生じます。脱出していた痔核はものと場所に戻るように吊り上がり、拡張した血管は硬化・縮小していきます。10%程度の方に注射翌日や2週間後に38度程度の発熱が出現することがあります。注射部位に直腸潰瘍を来さないように注射液投与量が過剰とならないように注意して実施しています。
ジオン注射療法後、6ヶ月の時点で内痔核の脱出や痔出血の再発がある場合には、ジオン注射の追加や手術による痔核切除術が勧められる場合があります。
排便時に痛みもなく鮮やかで真っ赤な出血がある場合、便器の水が赤く染まるような場合は肛門付近からの出血が強く疑われます。このような場合、肛門鏡または直腸鏡による筒状の診察器具で出血部位の検査を行います。直腸がんや直腸潰瘍、直腸炎が疑われる場合には、微温のグリセリン浣腸30−60mlによる前処置を行なった後、直腸鏡により肛門から約15cm程度の長さの直腸を調べます。排便後の出血が鮮血でなく、血液を交えた排便や粘い血便、便潜血検査で陽性であった場合などは、直腸よりもさらに奥(口側よりの大腸)に出血源があることが疑われます。このように鮮血とは異なる場合は、大腸内視鏡検査や腹部骨盤部CT検査をご提案することがあります。
いぼ痔の脱出と判断された場合、軟膏や内服薬、原因となる便通異常の治療薬から開始するようにしています。いぼ痔が排便時に脱出する。排便後自力で肛門内に押し込む、押し込もうとしても肛門内には戻らない。このような症状には、内痔核に対するジオン注による注射療法の効果が期待できることがあります。ジオン注による治療から1−2日後には注射部位の腫れた感覚はほぼ消失するようです。ジオン注の効果は注射と同時に出現してきます。直後から痔核は肛門内に引き込まれます。日帰り手術で行うため注射翌日に診察させてもらうこともありますが、通常は1週間後に再診していただきます。「常に肛門の外に膨らんだいぼ痔を押し込まなくて良くなることが、こんなに自分の生活を楽にしてくれるとは思わなかった。」という喜びの声を聞くことができました。脱出性内痔核に対するジオン注の効果を再確認することができました。脱出よりも出血が目立つ内痔核もジオン注で効果が得られやすい病状と考えています。
お尻が切れる、排便後にお尻を拭くとトイレットペーパーに血がつくなどの訴えがあります。裂肛が強く疑われます。裂肛の部位のいぼ(見張りいぼ)などの注意して診察をします。特に、痛みの強い時には問診から判断して肛門鏡などによる肛門を拡げるような検査や診察は後日として、投薬治療を優先して行います。裂肛の繰り返しにより裂肛部に慢性的な潰瘍が形成されていないか診断することは重要です。
当院の薬剤のラインナップ:ボラザG軟膏、ネリプロクト軟膏、ネリザ軟膏、強力ポステリザン軟膏、プロクトセディル軟膏、ヘルミチン坐薬、ヘモクロンカプセル、ヘモナーゼ配合錠、ヘパリン類似物質油性クリーム等を中心に薬物治療にあたっています。
嚥下に関わる疾患全般
唾液や水分、食事をのみ込む時に違和感やのみ込みにくさ「嚥下(えんげ)困難」を感じる時には、食道がんを含めた精密検査が必要かもしれません。現在のところ、食道がんの早期発見のためには、がん検診か嚥下時の違和感が出現した際に診察・検査を受けるしかありません。当院では、高画質の細径内視鏡検査装置、X線透視診断装置、超音波画像診断装置を整備しており、「食道がん・胃がんの早期発見」に力を入れています。
また、誤嚥性肺炎の予防には、口腔ケア・フレイル予防・嚥下機能評価に基づく摂食・嚥下が重要と考えています。体力の低下した時期にいかに食事を摂取するかについて考えながら診療を行っています。
【嚥下困難の症状】
- 嚥下困難、嚥下時のむせ、鼻咽腔逆流、嚥下時痛など
- 食物残留感、湿声、喀痰増加など
- 持続的な喀痰や発熱などの呼吸器感染症状、食物摂取量の減少、食事時間の延長、体重減少など
【嚥下困難の原因】
- 腫瘍性(食道がん、食道胃接合部がん、咽頭がん、舌がんなど)
- パーキンソン病
- 脳血管障害
- 脳梗塞、認知症
- 呼吸器疾患
- 精神疾患
食道疾患
食道がん・食道粘膜下腫瘍(食道平滑筋種、食道平滑筋肉腫)
逆流性食道炎・食道裂孔ヘルニア・食道憩室
食道運動機能障害、等
便秘外来
排便に問題を抱える方 詳細はこちら
いぼ痔(内痔核)や裂肛、痔瘻のほか、大腸がんなどの腫瘍性疾患が関わっている場合があります。
便秘は食道から肛門までのケアを必要とします。腸は多数の自律神経を含む第2の脳として捉えられます。
約100兆個の腸内細菌が腸内環境を形成しています。この腸内環境は腸内細菌叢(腸内フローラ)と言われます。腸内フローラ検査のご紹介 https://pro.mykinso.com/
便秘解消情報サイトのご紹介 https://www.e-ben.jp
陥入爪(巻き爪)外来
爪縁切除・爪甲爪床切除・コットンパッキング
1%キシロカインによる局所麻酔を27-30ゲージの細い針で行いますので痛みは最小限です。
処置後は包帯を巻くため、サンダルやスリッパなどの履き物をご準備いただいていると便利です。
外科処置
切り傷、擦り傷、打撲、捻挫に対する検査、創処置などを行います。レントゲン撮影、超音波検査、尿検査を院内にて実施することがあります。CT検査やMRI検査は適切な医療機関へ検査を依頼させていただいております。火傷の処置、疣贅(イボ)の治療、フットケア、ストマケア、褥瘡処置などにも対応可能です。
感染症
膀胱炎 女性に多い疾患です。血尿を伴うことが少なくないため濁った褐色の尿が出ることがあります。採取した中間尿(出始めの尿は便器に排出し、排尿を止めずに中間部分の尿を採尿コップにとる)の一般定性検査(白血球、潜血、タンパク、糖、pH)の迅速検査、遠心分離機にかけて尿沈渣の顕微鏡検査を行います。主な原因菌は大腸菌と黄色ブドウ球菌です。抗生剤の感受性を考慮して治療薬を選択します。通常、5日間の投与で治療を終了します。
尿道炎 採取した尿の一般定性検査(白血球、潜血、タンパク、糖、pH)の迅速検査、遠心分離機にかけて尿沈渣の顕微鏡検査を行います。血液検査、尿のPCR検査、培養検査を追加することがあります。主な治療薬には、ミノサイクリン塩酸塩錠、アジスロマイシン錠、レボフロキサシン錠、セフトリアキソン注射薬があります。
梅毒 感染の機会から6週間以降であれば、血液検査を実施します。抗体検査(STS法/TPHAの2種類)の定性検査を実施、陽性であれば定量検査を行います。治療には抗生剤治療4週間または規則正しい内服が難しい方には1回の注射薬も選択可能です。抗生剤に対するアレルギーには注意が必要です。結果が出るまでには1-2日かかります。梅毒感染症陽性の場合にはHIV感染症の有無につき血液検査によるHIV-1/2抗体検査も検討する必要があります。
淋菌・クラミジア感染症 初尿(排尿開始時の尿を採取)または尿道、膣、子宮頸管ぬぐい液の核酸検出法(PCR検査)による検査を行います。結果には3-4日かかります。治療には、抗生剤の内服治療、点滴治療があります。
細菌性膣炎・トリコモナス膣炎 ぬぐい液の顕微鏡検査も同時に行います。主な治療薬には、クロマイ膣錠、フラジール膣錠、フラジール内服薬があります。
カンジダ性膣炎 免疫力の低下や月経の前後、細菌性膣炎の治療中に発症することがあります。培養検査などがあります。治療には抗真菌剤として、フロリード膣坐剤などの溶解性に優れた薬剤を選択しています。
新型コロナウイルス感染症 発熱と強い体のだるさ(倦怠感)、関節痛、筋肉痛、頭痛、咳、喉の痛み、嗅覚・味覚異常などが出現します。検査方法は、院内での抗原定性検査(インフルエンザA抗原、B抗原を含むコロナウイルス抗原同時検査も可)、院外の検査機関による唾液PCR検査を行っています。治療には、対症療法を目的に、解熱鎮痛剤、うがい薬、関節痛や頭痛に対する漢方薬、鎮咳剤などを処方します。高齢者や重症化リスクのある方には、抗ウイルス薬の投与を5日間行います。主な抗ウイルス薬には、ラゲブリオカプセル、ゾコーバ錠があります。経皮的酸素飽和度(SpO2)と心拍数の測定できるパルスオキシメーターの貸し出しにも対応しています。
インフルエンザ感染症 A型またはB型インフルエンザ感染症の診断が得られた場合には、主に抗ウイルス薬の吸入療法(10歳以上:イナビル吸入粉末薬20mg、2容器=40mg分を吸入します)または内服薬(成人または体重37.5kg以上の小児:タミフルカプセル75mg、1回1カプセル、1日2回、5日間経口投与)にて治療します。予防投与は自費診療扱いとなります。
結核感染症 症状は、2週間以上持続する咳(せき)、痰(たん)が出る、痰に血が混じる、体がだるい、微熱が続くなどがあります。結核感染症は肺やリンパ節に抗酸菌が検出されることで診断されます。感染の検査には、血液検査(インターフェロンガンマ遊離試験)、発病の検査には、胸部レントゲン検査、喀痰検査(痰を3日間採取、塗沫検査、培養検査、遺伝子検査)などがあります。治療は、原則、3−4種類の内服薬、6ヶ月間の治療になります。排菌している場合には、入院治療が必要となります。