胃疾患
慢性胃炎
原因
主な原因は、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染によることが分かっています。ピロリ菌による活動性慢性胃炎は、(内視鏡)胃カメラ、(呼気検査)診断薬内服による尿素呼気試験、(血液検査)抗ヘリコバクター・ピロリ菌IgG抗体、(便検査)便検査、(胃粘膜組織検査)迅速ウレアーゼ試験などにより診断します。ピロリ菌の感染がある場合には、内服薬による1週間の除菌治療を行います。除菌により、胃・十二指腸潰瘍、胃がんの発生リスクを低下させることができます。ピロリ菌により痛めつけられた胃粘膜は萎縮性胃炎という状態になり、ビタミンB12や鉄、葉酸吸収障害を来すことがあります。その他の原因として、サイトメガロウイルス感染、自己免疫性胃炎(A型胃炎)、消炎鎮痛剤の長期服用、クローン病などの自己免疫疾患、肝硬変や腎不全などの栄養・代謝・微小循環障害、過剰な塩分摂取、香辛料、喫煙、食べ過ぎ、飲み過ぎ、不規則な食生活などが挙げられます。
症状
上腹部不快感、上腹部痛、食欲不振などさまざまです。胃がんとの鑑別のためには、病歴聴取、身体診察、内視鏡検査や胃透視検査、血液検査等が必要となります。
胃潰瘍
原因
胃潰瘍は日本国内では年々減少してきています。こ の理由には、消化性潰瘍の主な原因であるピロリ菌の感染者が減ってきたこと、ピロ リ菌の除菌治療が普及したことにより消化性潰瘍の発症や再発が抑えられるように なったことがあげられます。 その一方で、非ステロイド性抗炎症薬を鎮痛や脳心血管疾患の予防のために服用する患者さんが増えており、薬剤性潰瘍の割 合が高まっています。また、薬剤もピロリ菌も伴わない特発性潰瘍が約 1 割に増えて いると考えられています。 手術侵襲や精神的ストレスによってホルモンバランスを崩し、胃酸が過剰に分泌されたり、強い香辛料や大量の飲酒やコーヒ、喫煙などで物理的に胃に負担がかかってしまい発症するケースもあります。
症状
自覚症状で最も多いのが、上腹部やみぞおちの痛みです。 胃潰瘍の場合は、食事中から食後に起こることが多く、十二指腸潰瘍の場合は、空腹時に痛むことが多いです。 胸やけ、胃もたれ、吐き気、嘔吐、食欲不振を伴うこともありますが、自覚症状が全く無い人もいます。悪化する と潰瘍から出血し、吐血や黒色便を引き起こすことがあります。その場合は内視鏡によ り出血を止める処置が必要になります。また、少量の出血が長引くと、貧血が進行する ことがあります。そして、潰瘍による傷が深くなると胃や十二指腸の壁に穴があき(穿孔)、 激しい痛みとともに腹膜炎を発症します。この場合は手術などの緊急処置が必要となり ます。