感染症
膀胱炎
女性に多い疾患です。血尿を伴うことが少なくないため濁った褐色の尿が出ることがあります。採取した中間尿(出始めの尿は便器に排出し、排尿を止めずに中間部分の尿を採尿コップにとる)の一般定性検査(白血球、潜血、タンパク、糖、pH)の迅速検査、遠心分離機にかけて尿沈渣の顕微鏡検査を行います。主な原因菌は大腸菌と黄色ブドウ球菌です。抗生剤の感受性を考慮して治療薬を選択します。通常、5日間の投与で治療を終了します。
尿道炎
採取した尿の一般定性検査(白血球、潜血、タンパク、糖、pH)の迅速検査、遠心分離機にかけて尿沈渣の顕微鏡検査を行います。血液検査、尿のPCR検査、培養検査を追加することがあります。主な治療薬には、ミノサイクリン塩酸塩錠、アジスロマイシン錠、レボフロキサシン錠、セフトリアキソン注射薬があります。
梅毒
感染の機会から6週間以降であれば、血液検査を実施します。抗体検査(STS法/TPHAの2種類)の定性検査を実施、陽性であれば定量検査を行います。治療には抗生剤治療4週間または規則正しい内服が難しい方には1回の注射薬も選択可能です。抗生剤に対するアレルギーには注意が必要です。結果が出るまでには1-2日かかります。梅毒感染症陽性の場合にはHIV感染症の有無につき血液検査によるHIV-1/2抗体検査も検討する必要があります。
淋菌・クラミジア感染症
初尿(排尿開始時の尿を採取)または尿道、膣、子宮頸管ぬぐい液の核酸検出法(PCR検査)による検査を行います。結果には3-4日かかります。治療には、抗生剤の内服治療、点滴治療があります。
細菌性膣炎・トリコモナス膣炎
ぬぐい液の顕微鏡検査も同時に行います。主な治療薬には、クロマイ膣錠、フラジール膣錠、フラジール内服薬があります。
カンジダ性膣炎
免疫力の低下や月経の前後、細菌性膣炎の治療中に発症することがあります。培養検査などがあります。治療には抗真菌剤として、フロリード膣坐剤などの溶解性に優れた薬剤を選択しています。
新型コロナウイルス感染症
発熱と強い体のだるさ(倦怠感)、関節痛、筋肉痛、頭痛、咳、喉の痛み、嗅覚・味覚異常などが出現します。検査方法は、院内での抗原定性検査(インフルエンザA抗原、B抗原を含むコロナウイルス抗原同時検査も可)、院外の検査機関による唾液PCR検査を行っています。治療には、対症療法を目的に、解熱鎮痛剤、うがい薬、関節痛や頭痛に対する漢方薬、鎮咳剤などを処方します。高齢者や重症化リスクのある方には、抗ウイルス薬の投与を5日間行います。主な抗ウイルス薬には、ラゲブリオカプセル、ゾコーバ錠があります。経皮的酸素飽和度(SpO2)と心拍数の測定できるパルスオキシメーターの貸し出しにも対応しています。
インフルエンザ感染症
A型またはB型インフルエンザ感染症の診断が得られた場合には、主に抗ウイルス薬の吸入療法(10歳以上:イナビル吸入粉末薬20mg、2容器=40mg分を吸入します)または内服薬(成人または体重37.5kg以上の小児:タミフルカプセル75mg、1回1カプセル、1日2回、5日間経口投与)にて治療します。予防投与は自費診療扱いとなります。
結核感染症
症状は、2週間以上持続する咳(せき)、痰(たん)が出る、痰に血が混じる、体がだるい、微熱が続くなどがあります。結核感染症は肺やリンパ節に抗酸菌が検出されることで診断されます。感染の検査には、血液検査(インターフェロンガンマ遊離試験)、発病の検査には、胸部レントゲン検査、喀痰検査(痰を3日間採取、塗沫検査、培養検査、遺伝子検査)などがあります。治療は、原則、3−4種類の内服薬、6ヶ月間の治療になります。排菌している場合には、入院治療が必要となります。