貧血

  • 貧血とは、血液中のヘモグロビン値が男性で13.0g/dl以下、女性で12.0g/dl以下のことをいいます。もっとも多い貧血の症状は、息切れです。
  • 貧血には様々な原因があります。
    • 鉄欠乏性貧血:もっとも頻度の高い原因です。ヘモグロビンの材料は鉄ですので、鉄が不足すると働きのよくない赤血球になってしまいます。働きが悪いと酸素をうまく全身に運べなくなり、息切れ、疲れやすさが起こってきます。男性、閉経後の女性の鉄欠乏性貧血の原因としてもっとも多いものは消化管出血です。便が黒い、便が赤いなどの症状がありませんか?
    • そのほかの栄養欠乏:胃切除後、萎縮性胃炎などに伴うビタミン欠乏、アルコール多飲、栄養不良に伴う葉酸欠乏、さらに稀な原因として銅欠乏が貧血を起こすことがあります。亜鉛欠乏もしばしば見られますが、亜鉛欠乏単独で貧血になることは非常に稀です。
    • 慢性の病気が原因:全貧血の3分の1程度が「慢性疾患に伴う貧血」に分類されます。慢性腎臓病、関節リウマチ、甲状腺疾患などが原因となりこれらの診断が必要です
    • 血液の病気:上記の1)〜3)が注意深い診察で除外できた場合、再生不良性貧血(血液を作る工場である骨髄の機能が低下する)、骨髄異形成症候群(血液を作る工場である骨髄で正常な血球が作れなくなる)、白血病(腫瘍化した異常な白血球が大量に増殖し正常な血液が作れなくなる)、多発性骨髄腫(骨髄で免疫細胞の一種である形質細胞が腫瘍性に異常増加し正常の血液産生を妨げる)などの血液疾患の診断を進めます。
    • 説明不能の貧血:加齢に伴うテストステロン(男性ホルモン)の減少、潜在的な炎症などによる貧血。65歳以上の貧血のうち2~3割程度がこの分類に入ります。