排便時の出血

  • 排便時の出血がある場合には、胃から肛門までの消化管からの出血が考えられます。同時に痛みを伴うこともあります。黒っぽい出血は胃からの出血を疑わせます。赤い血液がトイレットペーパーにつく、便器の水が赤くなるような場合は肛門からの出血が疑われます。排便困難、残便感があるような場合には直腸がんなども疑う必要があります。出血量が多い場合には、繰り返し血液の塊が出てくることもあり、大腸憩室や直腸潰瘍からの出血も考えられます。多くの場合、直腸診、肛門鏡や直腸鏡による検査により診断が得られることが期待されます。場合により、大腸内視鏡検査、腹部CT検査を追加します。出血部位の状態を明らかにすることにより適切な治療を選択することが可能となります。明らかな急性裂肛や血栓性外痔核では、肛門痛のため肛門鏡の挿入などの痛みを誘発するような検査は控えて、まずは鎮痛などの治療を先行するようにしています。
  • 肛門出血を繰り返す原因として、止血機能の低下があります。心房細動や心筋梗塞などにより抗血小板薬を内服されている方、肝障害のために血小板数が低下(10万/mm3以下)している方などは、痔核からの出血が止まりにくくなります。このような場合には、内痔核に対するジオン注による注射治療(ALTA療法/アルタ療法)により効果的に止血が得られる場合があります。ALTA療法により痔核からの出血がなくなることにより、心臓の疾患に対する抗血小板薬の安定した内服が可能となり、貧血を予防または治療することができます。このような問題を抱えている方は、お薬手帳など服用中のお薬が分かる資料を持参の上、お気軽にご相談ください。