ピロリ菌感染症が心配

  • ヘリコバクター・ピロリ菌はグラム陰性桿菌の細菌です。乳児期に感染することが多いとされています。高齢者ほど保菌率が高くなっています。ピロリ菌に感染すると胃に慢性炎症を引き起こし、胃・十二指腸潰瘍、胃がんのリスク因子となります。
  • 内視鏡検査(胃カメラ)により、胃粘膜の点状発赤や浮腫、地図状の浅い粘膜びらん、粘液の付着などが認められます。検査には、胃粘膜組織による迅速ウレアーゼ試験、呼気による尿素呼気試験、血液検査による抗ヘリコバクター・ピロリ菌IgG抗体検査、便によるピロリ菌抗原検査があります。ピロリ菌の感染により胃粘膜の萎縮を来す場合があります。胃粘膜の萎縮(老化)を測定する方法として、ペプシノゲンIとペプシノゲンI/II比の測定があります。
  • ピロリ菌が自然に消失することは極めて稀であるため、除菌療法が行われます。除菌成功率は、1次除菌では約90%、2次除菌では約95%と報告されています。1日2回(朝夕)、7日間連続内服。主な副作用に軟便、下痢、味覚異常などがあります。自己判断で中断すると、除菌に失敗するだけでなく治療薬に耐性をもったピロリ菌が現れることがあります。
  • 除菌療法により胃がんのリスクを1/3まで減らすことができることから、当院では、原則、現在ピロリ菌が認められる方には除菌療法を勧めています。ピロリ菌の除菌療法は保険診療にて行われています。対象となる病気:胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃MALTリンパ腫・特発性血小板減少性紫斑病・早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎。
  • 1次除菌療法(内服治療):ボノサップフマル酸塩・アモキシシリン水和物・クラリスロマイシン3剤併用療法
  • 2次除菌療法(内服治療):ボノサップフマル酸塩・アモキシシリン水和物・メトロニダゾール3剤併用療法
2024/03/10

訪問診療の体制を強化 「在宅療養支援診療所」として認可されました