便が出なくて肛門が痛い、水様の便がもれる

体調不良や体力低下、排便のタイミングを逃してしまったこと等をきっかけに、ひどい便秘になることがあります。直腸診の診察を受けてください。

そのような際には、直腸膨大部という肛門を閉めている肛門括約筋直上の便を貯める部分に硬いコロコロ便が積み重なるようになったり、柔らかい粘土状の便が塊となって充満してしまっていることがあります。直腸膨大部がパンパンに張ってしまうとなかなか自力で排便ができなくなってしまいます。塊状となった便と大腸肛門のすきまを水様の便が少量ずつ繰り返し出てくることもあり非常に不快な状態となります。

通常、肛門から直腸診という示指による診察を行い、肛門狭窄、痔核、便塊の有無、直腸がんの可能性などを診断し、そのまま摘便を行うことになります。頻度は少ないものの、原因の精査のため、CT検査や大腸内視鏡検査などを受けていただくこともあります。

摘便後は、残存した便の排泄を助けるため、肛門痛や肛門の腫れ(外痔核)の治療のため痔疾軟膏の投与とともに、慢性便秘に対する治療薬(錠剤、粉薬、内用液、坐薬、浣腸液など)を追加することになります。原因となる体調の回復により薬が不要となる場合もありますが、高齢者の場合には、長時間トイレでいきむことで心不全症状が悪化したり便座との圧迫で足腰に痛みが出たりしてしまうため治療薬を継続してもらうことが多い状況です。